退去費用という名目で、いわゆるボッタクリが横行しています。
自分で経験したり、周りでも経験された方はいるのではないでしょうか。
- 明らかに高額な退去費の請求
- 汚れもないのにクロスの張替え費請求
- はじめからあった傷なのに請求
- 美装代・ハウスクリーニング
聞いたことがある項目がある方も多いと思います。
業界自体がボッタクリしやすい構造になっているために、ぼったくりが横行しているのが現状です。
ボッタクリ退去費用の対処法についてお伝えしていきます。
※大手でも平気でぼったくりをしてきますので、用心してください。
退去費ボッタクリの対処策
入居者はほとんどの場合は素人です。
なので、原状回復と聞くと
「新品にしないといけないのか…」
と考えてしまいますが、そんな必要はありません。
原状回復とは借りた当時の状態に戻すことではありません。
原状回復とは借りた当時の状態に戻すことではない
退去費用とは原状回復費用のことをいいます。
原状回復とは、「新品同等」にすることではありません。
詳しくは後述しますが
ほとんどの場合は、お金をかけずに退去することが可能です。
入居者負担費用にならない箇所
まず、負担箇所にならないところからみていきます。
家に住んでいると、当然ながら家は劣化します。
これを経年劣化と言いますが、契約書等では「自然損耗」と表現されます。
この自然損耗は、入居者負担にはなりません。
自然損耗に適合するもの
- クロスのこすれ
- 家具設置によるフローリングのへこみ
- 畳のすり減り
- 壁紙の黄ばみ
こういった、住んでいるだけで劣化していくものになります。
入居者が負担しなくていい理由は
自然損耗は家賃に含まれているという前提があるからです。
借主の故意・過失による損耗は入居者負担
次に、入居者負担になるものをみていきます。
ですが、ほとんどの場合支払わなくて良くなります。
詳細は項目を見た後に記載していきます。
入居者負担になる項目
例えば、
- タバコのヤニ汚れ
- 壁の破損
- 子どもの落書き
- 焦げ跡
少し自分らしい暮らしをしてしまうと、このような個所は出てきてしまいます。
傷んでしまっても新品にしなくていい
このような入居者負担になる箇所ができてしまったとしても、「新品」にする必要はありません。
また、詳しくは後述しますが
「やってしまった!:」と思ったときに火災保険を使っていれば問題ありません。
新品にしなくていい理由は、正当な請求は、住んでいる年数と負担箇所の耐用年数などを考慮して計算されるからです。
この耐用年数について詳しく見ていきましょう。
耐用年数の実例
例えば、6年住むとクロスの価値はなくなります。
これは、クロスの耐用年数が6年という決まりがあるため、6年を過ぎるとクロス自体に価値がなくなります。
では、入居年数が3年ならどうなるの?という場合、
(クロスの耐用年数が6年)-(入居年数3年)= 3年分の費用負担になります。
つまり、クロス代金の半分という金額が負担額になります。
下記の耐用年数表と物件に住まわれた年数をで計算してみてください。
6年を越えて住んでいる場合は、例えクッションフロアに傷をつけていたとしても、クッションフロアに価値が残っていないため、修繕費が発生することはありません。
詳しく知りたい方はこちらをご覧ください→国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
耐用年数表
畳床 | 6年 |
カーペット | 6年 |
クッションフロア | 6年 |
流し台 | 5年 |
エアコン | 6年 |
負担は破損「部分」だけでいい
「全面張替え」の費用負担がきたとしても、多くの場合は費用負担をする必要はありません。
その理由は
- 壁の場合は、最大で傷をつけた箇所の壁一面
- フローリングの場合は、1枚単位
など、傷などをつけてしまった「箇所」のみの修繕を負担するのが決まりです。
なので、全面張替えなどはする必要がありません。
請求書にこのような項目が入っている場合、ほとんどが業者のボッタクリです。
退去費用を安くする方法
では、実際に退去費用を安くおさえる方法を見ていきましょう。
まずは、気づいたときに使ってしまおう火災保険について。
火災保険を使おう
火災保険は、多くの場合「借家人賠償」という項目があります。
借家人賠償とは、
「大家さんに損害を与えてしまった費用を保険会社が負担する」
という内容のものです。
ですので、退去時に費用負担を請求されるような箇所は、ほとんどの場合が火災保険の適用になります。
火災保険は入居中しか使えない
ただし、入居中にしか使うことができないので、傷をつけてしまった場合は早めに火災保険で修繕をしておきましょう。
また、火災保険は何度使っても保険費用が上がることがないので、積極的に使うと良いです。
特約のほとんどは無効
契約書での「特約」という箇所に「不当な契約」が記載されていることが多くあります。
確かに、特約には効力がありますが
実は、その特約のほとんどは「無効」です。
特約は、双方で「きちんと」取り決めた特約には効力があります。
しかし、特約が法律上認められる条件があります。
- 具体的な金額が書かれていること
- 契約者がきちんと内容を認識していること
- 「その特約のページ」に記名押印があること
この3つが揃って初めて特約が法的に認められます。
うち2つを満たしていても無効です。
これは平成17年12月16日の最高裁の判例でもでています。
契約書には記名押印はしているけども、特約が書かれているページにも記名押印がない。
この場合も、もちろん無効です。
特約の記載があった場合でも、3つの条件に当てはまっていないことを指摘して交渉をすれば特約を無効にすることが可能です。
交渉の方法については、こちらのページをご覧ください
⇒(作成中)
次に住む人のための費用請求は無効
美装やハウスクリーニングというものは
「次に住む人のための費用」
になります。
しかし、次に住む人のための費用を入居者に請求することは認められていません。
大家が負担するものです。
なので、このような項目があった場合も、交渉をすれば無効にすることが可能です。
本来は大家負担の請求項目
項目としては
- 鍵交換代
- ハウスクリーニング
- エアコン清掃代
などがあたります。
これらは、多くの場合無効にすることが可能なので、泣き寝入りする前に対処していきましょう。
ぼったくり請求のほとんどが管理会社や立ち合い業者
では、なぜボッタクリなどという時代遅れなことが発生してしまうのか?
ということについて見ていきたいと思います。
大家や管理会社がボッタクリの場合
本来は退去者が支払う必要のないリフォーム代を退去者に負担させようとします。
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管理会社が不正請求で得たものは、オーナーにも連絡をいれないことが多いです。
大家が行う場合は、単純に自分が負担する費用を少なくしたいためになります。
立ち合い業者の場合
本来請求できないような項目を盛り込んで、高額な退去費を請求する場合が多くあります。
ビックリするような金額を平気で請求してきます。
立ち合い業者が間に入る場合は、必ず気を付けて請求書等を確認しましょう。
損をしない賃貸の退居方法まとめ
- 原状回復は借りた当時の状態に戻すことではない
- 故意・過失によって傷つけた箇所は「新品価格を負担しなくて良い」
- 故意・過失によるものでも壊れた箇所を負担するだけで良い
- 自分の過失でつけた傷は火災保険で回復できる
- 特約に記載されていても無効な契約が多い
もしボッタクリ被害にあいそうになった場合でも、同じ被害に合う人を減らすために
国民生活センターに報告しておきましょう。
交渉の方法については、こちらのページをご覧ください
⇒(作成中)