瑕疵担保責任とは簡単に言うと
「不動産売買をする中で、誰もわからなかった特定の不具合を売主が無条件で直します」
といったものです。
この瑕疵担保責任は不動産を売買する上で非常に重要なポイントです。
マジで重要なポイントなのでしっかり覚えてくださいね。
瑕疵担保責任を細かくみてみよう!
瑕疵担保責任と一口に言っても民法による瑕疵担保責任と宅建業法による瑕疵担保責任があります。
民法では第570条、第566条について定められています。
内容は簡単に言うと目的が達成することができない(住むことができない)場合、契約の解除ができますよ。
そして解除ができない場合は売主に対して損害賠償することができますよというものです。
ただ、期間の制限として買主が瑕疵を知った時から1年以内でしか瑕疵担保責任を追求することができません。これは覚えておきましょう。
宅建業法
次に宅建業法です。
基本的に民法と同じなのですが、期間の制限について全く変わってきます。
宅建業法では不動産を引き渡してから最短2年まで瑕疵担保責任の追求できる期間を短縮できるよと言う内容になっています。
宅建業法では売主の保護も考えられているんですね。
期間について2年以下とした場合、その特約は無効となります。無効になると元々なかったものとして扱われるので勝手に民法での扱いとなります。
ここまで読んであれ?民法では1年、宅建業法では2年までとなると実は民法の方がいいんじゃないの?と思われる方もいるかと思います。
これは、瑕疵担保責任が追求できる開始の時期の違いが問題です。
民法では買主が”瑕疵を知った時”から一年です。いつ瑕疵について認識できるかわかりませんよね。ずっと瑕疵担保責任追求のリスクがあるわけです。
対して、宅建業法は”不動産の引き渡し時から2年”です。
実際に所有権が移転されたタイミングから2年なので、厳密には2年超えた後に瑕疵がわかっても法律上では対応してもらえません。
そこは不動産業者の考え方の問題ですね。
瑕疵担保責任の範囲は?
瑕疵担保責任のどの範囲までが瑕疵に当たるのでしょうか?
瑕疵として認められる部分、認められない部分があります。
まずは認められる部分から!
・構造上の欠陥、腐食など
これは一番の問題ですよね。具体的な内容として、構造の傾きや構造に腐食が見られる、構造が繋がっていなければいけないのに繋がっていない、柱が撤去されているなどが挙げられます。外壁に亀裂が入っていないかもチェックしましょう!水が入ってくると腐食する可能性が激増します。
・シロアリの蟻害、シロアリが生息している
これも構造に関係があるのですが、シロアリと言うのは木を食べます。つまり木造の場合、構造がスカスカになって弱くなってしまうのです。シロアリは通常地面から上へ上がってきます。生息しているかどうかの判断は蟻道と呼ばれるアリの通った跡で判別します。たまに羽を持ったやつが上から攻めてくる場合もあるので木部が露出している箇所はよく見ておきましょう。こいつらは薬品で撃退可能です。
・給排水管の不具合、漏水
水が出ないとか詰まってしまうなどです。給水、給湯管に穴が開いていたり、排水管が外れていたりする場合があります。それにより漏水が起こります。戸建ては他の人に迷惑をかけることは少ないのですが、マンションなどの集合住宅ではとんでもないことになります。下階の被害も発生しますのでご注意ください。
・雨漏り
戸建てに多い現象です。木造、特に瓦葺きの戸建ては漏水しやすいです。これも放っておくと構造の腐食につながります。天井をしっかりと眺めましょう。稀にマンションでも起こることがあります。水染みがある場合は必ず管理組合に申し出ましょう。
・地中の埋設物
地中に埋設物があり、土壌が汚染されているなどの状況が考えられます。これは調査をしないとわからないことなのです。こればっかりはただ見ただけではわからないでしょう。建て替えの際にも関係があるので解体時などに確認してもらいましょう。
・越境、境界の不備
越境というのは植物や建築物が所有の土地から隣地まではみ出している状態です。植物は地上にある部分は越境していても勝手に切ってはいけません。ただ、地中からの根っこなどは勝手に処理しても法的には問題ありません。空中越境や建築物の越境は目視で確認できるのでチェックしましょう。境界の不備については隣地と所有の土地がどこからどこまでか曖昧になっていた時に起こります。例えば90㎡の土地だと思って買ったのに実際は隣地分も含まれていて 80㎡に減ってしまうというような状況です。地積測量図をしっかりと確認しましょう。
・付帯設備が最初から壊れている
これは使えると言われていた設備が初期不良を起こしている場合です。売買契約の際に付帯設備表というものが一緒に渡されます。これにどんな設備がついているのか壊れているものがあるか記載してあります。これも大事なものなので忘れずにチェックしましょう!
以上瑕疵として認められるもの一覧でした。
瑕疵として認められないのは見ればわかる傷、経年での劣化など
瑕疵として認められないのは、単純に目に見えているものです。
もう少し細かく言うと、壊れていることが認識できるもの、見ればわかる傷、経年での劣化などが当たります。
これについては中古住宅は現状有姿と言う考え方で取引することが多いのです。
現状有姿とは文字通り、現状は見た通りですよ。と言うことです。見れる部分、すぐにチェックできる部分に関しては確認したでしょ?と言うことで瑕疵として認められないことが多いのです。
ですのでもし内覧するときは様々な部分をチェックしましょう。そして、契約前に条件として直して欲しい箇所などを伝えましょう。
同じようなことですが、上記の瑕疵と認められる場合でも買主が知っていて買った場合は瑕疵担保責任を追求することはできません。
これは法律用語で言う、悪意という状況となります。悪意の状況とは”知っている”状況です。法律的にもわざわざ知っていて取引した人を保護する必要はないよねって考え方をしています。
気づいたら必ず指摘しましょう。
瑕疵担保責任は個人間では適用されない!?
ここまで瑕疵担保責任は〜みたいに書いてきて急になんだそれって感じだと思います笑
ただ、先ほど紹介した法律は個人間売買では適用されない場合があります。
というのも、業者と個人であれば個人を保護しようというのが法律の考えです。
個人同士では対等な関係なので特別保護する必要はないよねと考えられています。
と言いつつ、個人間でもだいたい3ヶ月瑕疵担保責任がついていることがあります。
瑕疵担保責任については個人間同士の約束事なので契約時にしっかりと話し合いましょう。
心理的瑕疵物件に気をつけよう!
心理的瑕疵物件というのはご存知でしょうか?
心理的瑕疵物件とは簡単にいうとそこに住むのが精神的に辛い物件です。
例えば、そこで自殺があった、事件があった、なんらかの痕跡が残っているなどの状態にある不動産です。
これは大島てるというサイトで確認できるものもあるので気になるときはチェックしてみてください。
ただ、基本的には心理的瑕疵についても必ず告知しなければいけないとされています。
相場よりかなり安いなと思われたらだいたい心理的瑕疵物件です。
怪しいものはチェックしましょう。管理人さんやご近所の方に聞くと一発でわかります。
瑕疵担保責任については状況によって判断が難しい場合もあります。
何かあればひとまず購入先の不動産屋さんに相談したり、知り合いの詳しい方に相談してみましょう。
不動産取引は不運が重なると一気に不利な契約になることがあります。(不動産仲介業者の経験が少ないとか仲介も見逃していたとか)
人間が介在しているとどうしても完璧にはいかないこともあります。
気になる事は都度確認し、後で苦しまないようにしましょう!