細かく構造の種類やそれぞれのメリット、デメリットについてお伝えしていきます。
家を買おうと思っているあなたや今住んでいる家について気になっているあなたは要チェックです!
損しない家の買い方!「戸建ては構造を買え」ってどういうこと?
戸建てにはいくつかの建て方と材料があります。
特に材料によって建て方が決まってきますし、性能や金額が変わってきます。
せっかく家を買うなら良いものを買いたい!
欠陥がある家を買いたくはないですよね。
- 木造軸組構造
- 木造枠組壁構造(2×4)
- 軽量鉄骨構造
- 重鉄骨造
- RC造
- 木造SE構法
では見ていきましょう!
木造軸組構造
木造軸組構造はその辺りにある木造の戸建ては大体これです。
いわゆる日本家屋に使われている構造で、日本では尺貫法に基づいてモジュールが決められています。(1尺が303mm1間が1820mm)
坪単価25万円〜90万円と金額は幅広いです。
柱は半間(910mm)ごとに入っていてそれが建物を支えています。
その柱が梁を受けて構造が成り立っている形です。
言葉で伝えづらいのでこんな感じです。
このような仕組みで家や内部の家具や人を支えています。
木造軸組構造のメリット
・建築金額が安い
日本のメーカーが販売している材料が尺貫法で作られているものが多く、材料の調達コストが低いのと昔ながらの構造なので建築効率が高いため
建築金額は他の構造に比べ最も安いです。
・断熱材を適切に入れられれば最も内部が暖かい
木は実は断熱効果が高い材料で、鉄骨やRCに比べても断熱性は段違いです。
弱点は柱や筋交いの隙間なのでこの部分を断熱材で充填してあげれば断熱性は最強です。
・ある程度リノベーションでの間取り変更が自由
構造を支えている柱は取れませんが、そうでない柱は取ることができます。
間取り変更の際に構造としての壁や柱が原因で間取りを変えることができないということがあります。
ライフスタイルは変わっていくものなので、ある程度自由がきく事はメリットです。
木造軸組構造のデメリット
・欠陥が多い
材料が木なのでシロアリや水に濡れることによる腐食、カビ、傾き、ねじれ、などが症状として出てくる場合があります。
分母が多いということもありますが、欠陥が出ることが多いです
実は2階建の戸建ては手続き上、構造計算する必要がないのです。
そのため、安い業者では耐震等級○相当なんて表現を使います。
これでは本当に表現した耐震等級があるのかわかりませんし、無理をした設計で10年以降問題が出てくることもあります。
(新築の瑕疵担保責任は大体10年で設定されている)
・ある程度決まった間取りになる。
使う材料の幅や太さによっても違ってきますが、部屋を広げられる幅が決まっています。
それ以上部屋を広げてしまうと、構造として弱くなってしまったり、後々欠陥になることがあるので注意が必要です。
木造枠組壁構造(2×4)
木造枠組み壁構造は北米で生まれ日本へやってきた工法、構造です。
価格帯は坪30万円〜60万円ほどです。
仕組みを簡単に説明すると、木造軸組構造が点と線での構造とするなら、木造枠組壁構造は面の構造です。
材料が2インチ×4インチの規格で生産されたことにより、日本では2×4(ツーバイフォー)と呼ばれます。
こちらも図で見てもらいましょう!
構造を面で作るため、剛性は非常に高いです。
木造枠組壁構造のメリット
・耐震性が高い
面で構造を作る木造枠組壁構造は地震に強いです。
通常の木造軸組構造に比べて構造部分の面積が多いため、構造が強くなるというイメージです。
・断熱性が高い
材料が工場生産されているので規格品らしく精度が高いです。
そのため、隙間ができにくく、断熱性、遮音性が高く暮らしやすいと言えます。
・工期が短い
先述の通り、工場生産の材料を使うため、現場での作業効率が高いです。
工期が短いのは魅力ですね。特に注文住宅で家を建てるときはつなぎ融資の兼ね合いもありますので工期が短いに越したことはありません。
ただ、海外性の家具を求めている方は早めに計画をしないと家が完成しても家具が届かないということになりがちです。(輸入品の納期は3ヶ月〜12ヶ月程度)ご注意を!
木造枠組壁構造のデメリット
・可変性に乏しい
木造枠組壁構造は面で構造を支えるため、後で取ったり付けたりということが難しいのです。
耐力壁でないものは取ることができますが、その判断はプロでないとできません。
ライフスタイルは常に変化するものなので後で間取りや設備の位置を変えようと思ってもでいないことが多いことに注意をしましょう。
壁や床に穴を開ける行為も慎重に場所を選んで行わなければいけません。(耐震性を損なってしまいます。)
・結露の可能性がある
高気密、高断熱の家の場合結露に注意しなければなりません。
換気性能を強化することと、余計な湿気を吸い取ってくれる仕上げや断熱材を選定することが望ましいです。
軽量鉄骨構造
軽量鉄骨造はプレハブ工法とも言われます。そのまんまプレハブを建てるときに使われる工法のためです。
価格帯は坪50万円〜75万円程となっています。
軽量鉄骨造の中身は木造軸組構造と一緒です。柱と梁で基本的にできています。耐震性を上げるために筋交いが間仕切り壁に入っていることが多いです。
軽量鉄骨構造のメリット
・工期が短い
2×4と同じで材料が工場生産の規格品のため現場での施工不良が起こりにくく、作業効率が高いために工期が短い傾向にあります。
・建築費が安い
木造軸組構造の構造強化版のような構造なので価格も割と安めです。
軽量鉄骨構造のデメリット
・住んでいて寒い
断熱がしっかりしているかどうかはどの構造も一緒なのですが、軽量鉄骨造は材料が鉄のため熱しやすく冷めやすいです。
構造自体が熱橋の役割をするので断熱がうまくいっていないと夏暑く、冬寒い最悪の環境が出来上がります。
断熱は出来上がったときには見えなくなってしまうので注意が必要です。(完工後熱損失のテストをしてもらいましょう)
・結露に弱い
逆に高気密で換気がうまくいっていない場合、結露が構造内部で起こる場合があります。
材料が鉄なので錆びてしまうと一気に構造の耐力がなくなります。換気設備に気をつける必要があります。
重鉄骨造
重鉄骨造とも言います。厚さ6mm以上の鉄骨を構造に使った構造です。
外壁はALCパネルという軽量気泡コンクリート建材が主に使われます。
価格帯は坪60万円〜90万円程度です。
構造は木造軸組構造と概ね一緒です。
ただ、構造自体が強いので柱と柱の幅を大きく取ることができます。
構造自体が非常に重くなるので地盤はしっかり調査する必要があります。
重鉄骨造のメリット
・耐久性が高い
重鉄骨造の耐久性は全構造の中でもトップクラスです。構造自体が重く丈夫なため、地震などの災害に強いです。
・間取りが自由に決められる。
鉄骨造の場合、RCラーメン造と一緒で間取りを自由に決めることができます。
先述の構造では間取りに制限ができることがありましたが、重鉄骨造では可変性は抜群にいいです。
ライフスタイルに合わせてリノベーションすればのぞみの暮らしが手に入るでしょう。
・メンテナンスがしやすい
最も高い耐久性を持つRC造と比べての話ですが、メンテナンス性は高いと言えます。構造がシンプルなのでメンテナンスもしやすいです。
重鉄骨造のデメリット
・金額が高い
重鉄骨造は先述の構造に比べて値が張ります。
構造自体の耐久性の高さで考えればもっともなのですが、高めの値段設定であることが多いです。
・構造が重い
構造が重いため、地盤をしっかりと調査しないと地盤沈下による傾きを起こす場合があります。
しっかりと調査をし、必要であれば改良をしましょう。
RC造
RC造にはラーメン構造と壁式構造のものがあります。
RC造の価格帯は坪50万円〜90万円程度です。
RC造は鉄筋とコンクリートでできています。この鉄とコンクリートの相性が最高なんです。
なぜかというと鉄は強い素材ですが、酸化すると脆くなります。コンクリートはアルカリ性の素材です。
酸性とアルカリ性を混ぜると中性化します。つまり、鉄は錆びずに強度を保ち続けることができます。
RC造が大きな建物の構造の主流になっているのは構造が強く自由に設計でき、長期に渡って耐久力を保持できるためです。
ちなみにRC造の耐力は主に鉄筋の力です。鉄筋を切ってしまうと構造が弱体化するので注意が必要です。
ラーメン構造RCのメリット
・間取りを自由に作れる
ラーメン構造RCの内部は基本的に耐力壁は必要ありません。ですので内部は自由に間取りを変えることができます。
床面もRCで作られている場合、水廻りの移設は制限を受ける可能性があるので注意が必要です。
・構造が長持ちする
構造の法定耐用年数は最も長い47年とされています。
実際にはコンクリートのアルカリ性が弱くなってしまい、内部の鉄筋が錆び始める頃が寿命となります。(コンクリートの中性化)具体的には大体50〜80年くらいの寿命と言われています。
・耐震性に優れる
RC造は多くのビルに使われている通り、耐久性が高く、丈夫な構造です。地震にも強く、近年では免震や制震といった技術が生まれますます耐久度を増しています。
ラーメン構造RCのデメリット
・建築費が高い
機能が優れることと、材料も高いため、費用がかかります。坪単価が90万円とすると30坪の建物でも2700万円ほどになってしまいます。
・メンテナンス性が悪い
RC造は建築時の施工不良に大きく影響を受けます。
他の構造の場合、後から手を入れて補強することができますが、RC造は補強も大規模になるので信用のできる会社に任せたいですね。年数が経ってくると雨漏りにも注意です。
・地盤の改良が必須
RC造は同じ広さで比べると構造が最も重いです。
そのため、地盤をしっかり改良しておかないと不同沈下などの不具合が出ることがあります。
昔、RC造の戸建てで床レベル(床の水平)を見たら19/1000というものがありました。
壁の端と端で6センチも高さが違っていたのです汗(法定の傾き許容は6/1000、新築は3/1000以内)注意が必要です。
壁式RC造のメリット
・ラーメン構造よりも頑強
なんせ構造が強いです。RCの2×4みたいなものですから、耐久度は非常に高いと言えます。
・部屋を広くできる
柱と梁がないため、その分部屋を広くすることができます。
・各部屋の防音効果が高い
壁式のRCは間取りもRC壁でできていることがあるので部屋ごとの防音性能は高いです。
壁式RC造のデメリット
・間取りの自由がない
これも2×4と同じですね。構造を支えている壁を取ることができません。リフォーム、リノベーションの自由度は低いです。
これに加えてラーメン構造RCのデメリットがプラスされる形です。
木造SE構法
木造のSE工法は木造でマンションなんかと同じラーメン構造を作ってしまった工法です。
SEはEngineering For Saftyの略です。具体的には数字に基づいた構造計算により耐震強度を担保しています。
その主な構造の秘密はSE金物と規格化された建材です。
建物の引き抜き強度が非常に高く、中越地震、東日本大震災、熊本地震でも倒壊件数はゼロです。
トレーサビリティ(物品の流通経路を生産段階から最終消費段階あるいは廃棄段階まで追跡が可能な状態)を確立しているため、健在や金物がどこのものかもすぐにわかります。
価格帯は坪45万円〜60万円程度です。
木造SE構法のメリット
・間取りの自由度が高い
木造なのに軸組でもなく枠組みでもないRC造と同じような空間作りができます。
キャンチレバー(片持ち梁のこと。梁の一方だけを固定し、もう一方は自由端になっており、開放的な印象を与える)もできますよ!
このようなイメージです。
2階の床面積を広く取ることができ、駐車場も作れます。
・耐震性が高い
木造ですが、耐震性に富んでいます。構造計算を必ずするので数字で担保された耐震等級○○がわかります。耐震等級は2以上がオススメです。できれば3を取りましょう。
・メンテナンスが容易
木造にしては可変性が高く、メンテナンスも容易です。長く住んでいく中でライフスタイルの変化に追従できるのは魅力です。
木造SE構法のデメリット
・通常の木造に比べると割高
木造軸組構造や2×4に比べると建築費が割高です。しっかりと住まいにこだわる方向けです。
構造を買うということ
様々な構造をご紹介しました。
一口に戸建てといってもこんなに種類があります。
さらに仕上げや細かい部分を言い始めたら数え切れないくらいの形の家があります。
戸建ては災害時に真価が問われます。地震や台風、火事などの災害から家族や自分を守ってくれるかどうかが大事です。
さらに一生そこに住むことを考えると自分が年老いても悠然と老朽することなく建っている家がいい家なのだと思います。
インテリアの視点で言えば、ユニバーサルデザインが用いられ、住まい手を癒し、気分を盛り上げ、持続可能な暮らしができる家がいい家なのではないかと思います。
間違っても耐震等級1相当とかついている家は買わないほうがいいです。
これは測ってないけど多分この耐震等級あるから大丈夫ですよといっているのと同義です。
それとQ値やC値、UA値についても聞いてみるといいです。それでわからないようならそこは信用に値しません。
Q値やC値、UA値は断熱、機密性を示す数字です。特にC値は施工が上手な会社でしかいい数字は出ません。
C値が高いということは家にたくさん隙間があるということです。(どの値も低い方が性能が良い)
構造が元気であれば家はずっと建ち続けることができます。
家を買う。
その時はしっかりと調べ、満足のいく暮らしを手に入れられるようにしましょう!